第269話

「ごめんなさい」レアがティッシュを差し出してきた。「はい。ええと……口紅、拭いて」

受け取って、唇を強くこすった。「いったい何なの、今の」

「ごめんなさい」彼女はまた俯いたまま言った。「自分でも何考えてたのかわからない。あの人、ずっと怒鳴ってたの。自分よりいい男なんて見つかるわけがない、とか、あの人以外に私を欲しがる人なんていない、とか、私が出来損ないだとか……。頭にきてた。どうしても、間違ってるって証明したかっただけ」

「キスしなくても証明はできたでしょ」苛立ちを隠さず言った。「もっとマシなやり方がある」

「わかってる。でも、考えてなかったの、本当に。バカだった。ごめんなさい。もう二度としな...

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